平成19年6月、他県に先駆けて発足し、今年結成10周年を迎えた「宮崎市消防団水上バイク隊」。
初動の早さと機動力を武器に、水難事故や浸水被害が発生した際の救助活動や行方不明者捜索などを行う市民の強い味方です。
全国からも注目を集める水上バイク隊の活動について、尾崎正孝隊長に話を伺いました。
[台風14号災害時の活動]
平成19年6月、他県に先駆けて発足し、今年結成10周年を迎えた「宮崎市消防団水上バイク隊」。
初動の早さと機動力を武器に、水難事故や浸水被害が発生した際の救助活動や行方不明者捜索などを行う市民の強い味方です。
全国からも注目を集める水上バイク隊の活動について、尾崎正孝隊長に話を伺いました。
まずは、水上バイク隊が発足した経緯についてお聞かせください。
きっかけは、平成17年に発生した台風14号による豪雨災害です。
あのときは、宮崎市小松地区一帯が浸水したのですが、救助活動を行うのにボートを貸してもらえないだろうかと、消防局から問い合わせがあったんです。
あいにくボートはなかったのですが、水上バイクならすぐに準備ができたので、仲間達と4台で現地に向かいました。
そこから手分けして、家に取り残された住民など約90名を救助したんです。
その翌年に、水上バイク隊を作ってくれないかとの要請があり、二つ返事で引き受けました。
台風14号災害時の活動
救助活動の他、入院患者のための食料や医療機器、発電機などの物資輸送にも携わりました。
現在は何名の方が活動されているのですか?
現在14名が活動していますが、みんな水上バイクのベテランばかりなので、かなりの腕前ですよ。
毎月一度は集まって、水難救助訓練を行っています。
具体的にはどのような活動をされているのですか?
沿岸や河川での救助活動や行方不明者捜索を行っています。
「サーファーが流されている」との通報を受けて、宮崎市消防局救助隊と合同で捜索・救助したこともありますし、
消波ブロックに衝突し操舵不能になった船から消波ブロック上に避難していた男性を救助したこともありました。
この5年間で、16回、延べ40名が災害出動しています。
水上バイク隊ならではの強みはなんでしょうか?
水上バイクは、スロープさえあればどこにでも下ろすことができますし、膝上まで水深があればどこにでも行けます。
そこが何よりの強みです。
3秒あれば時速100㎞に達するので、すぐに現場へと急行できますしね。
それに、船はひっくり返ってしまったらどうにもなりませんが、水上バイクの場合、ひっくり返っても起こせばすぐにエンジンがかかります。
最近の水上バイクは3人乗りで安定感もあるので、救助活動を行うのに最適だと思いますよ。
水上バイク隊のみなさんがいることはとても心強いですが、まずは水難事故に遭わないことが大事。そのために、気を付けるべきことはありますか?
海水浴でも釣りでもですが、ライフジャケットを着用していれば安心ですね。
万が一、溺れてしまったときには、何もせずにじっと浮いていることが大切です。
下手に泳ごうとすると、濡れた洋服などの重みもあって疲れてしまい、沈んで亡くなってしまうことが多いんです。
今後の抱負をお聞かせください。
水上バイク隊はチームワークが命。
訓練を重ねて、1秒でも早く要救助者のもとに駆けつけて、1人でも多くの人命救助に貢献していきたいですね。
水難救助 訓練に密着!
9月10日、宮崎港そばの海岸で行われた水難救助訓練を取材。
この日の訓練には隊員9名が参加し、熟練の技で自由自在に水上バイクを操っていました。
宮崎市水上バイク隊の主な活動
通常時○水上バイク隊独自での水難救助訓練
○宮崎市消防局救助隊との合同水難救助訓練
○消防出初式等の消防団行事への参加○市や消防団が主催する水難救助訓練への参加
○一般団員で実施する舟艇訓練等への参加災害時
○水上バイクが航行可能な沿岸(海岸から2海里以内)や河川での水難事故での救助活動
○河川等における行方不明者捜索
○台風や大雨などによる水害発生時の内水面での救助活動
主な水難救助活動
○男性が船釣りを行っていたところ、宮崎港から300m沖の消波ブロックに船が衝突し操舵不能状態に。消波ブロック上に避難していた男性を確保して、水上バイクに乗せて救助。その後、釣り船を水上バイクで曳航。○宮崎港内で浮いている男性を釣り人が発見し通報。急行した水上バイク隊が男性を確保し、水上バイクで駆けつけた消防局救助隊と連携して収容し、岸壁まで搬送。