「これまでの経験を無駄にしない!」 2023年台風10号における西都市消防団の動き
2022年9月18日に最接近した台風14号によって内水(※1)氾濫など大きな災害を経験した西都市。
予報では「雨、風ともに最強クラス」といわれた昨年の台風10号に、消防団はどのような体制で臨んだのか。
西都市消防団・藤原幸一団長に聞きました。
(※1)内水…堤防によって守られている住宅地や農地などを「堤内」といい、その堤内側を流れる河川等の水のこと。
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「これまでの経験を無駄にしない!」 2023年台風10号における西都市消防団の動き<br /> <br /> 2022年9月18日に最接近した台風14号によって内水(※1)氾濫など大きな災害を経験した西都市。<br /> 予報では「雨、風ともに最強クラス」といわれた昨年の台風10号に、消防団はどのような体制で臨んだのか。<br /> 西都市消防団・藤原幸一団長に聞きました。<br /> <br /> (※1)内水…堤防によって守られている住宅地や農地などを「堤内」といい、その堤内側を流れる河川等の水のこと。<br /> <br />
豪雨対策の苦難

2024年の台風10号では竜巻以外で大きな災害はなかった

水位が上がった内水のポンプ排出作業
西都市には一ツ瀬川と三財川という二つの大きな河川が流れていて、2つの川に挟まれるようにして市街地が開けています。しかも、それぞれの川にダムが設けられているので、大雨の際の対応がとても難しいんです。
というのも、西都ではたいして雨が降っていなくても、川の上流に位置する椎葉村や西米良村で大雨が降れば、その水が川を流れ下ってくるからです。ですから、地元だけでなく、ダムを管理する県や九州電力との連携が欠かせませんし、遠く離れた山間地の気象にも目を光らせておく必要があります。
2022年の台風14号の際も、西都市の雨量が178mm(9/15〜19の降水量)だったのに対して、西米良村が683mm、椎葉村が624mmと3倍以上でした。ダムは事前放流していたものの、あまりの水量に対応できずに緊急放流を実施。そこに暴風が重なって樋門(※2)を操作することができなかった。それが広範囲の浸水被害につながってしまったんです。
(※2)樋門…堤内の河川等がより大きな川に合流する場合、合流する川の水位が高くなった時に、その水が堤内側に逆流しないように設けられた門。
過去の経験を教訓に

国土交通省に出動を要請したポンプ車
台風10号への対応は基本的にこれまでと変わりはなかったのですが、2022年に大きな被害をもたらした台風14号をはじめとするこれまでの経験を反映した動きもありました。
それぞれのダムは積極的に事前放流を行ってくれましたし、内水の水位が上がったときに国土交通省にポンプ車の出動を要請しました。結果として、総雨量がそこまででもなかったこともあり、竜巻以外に大きな被害はなかったのですが、過去の経験を教訓としてしっかりとまちの安全につなげていかなければなりません。そのためには地元に密着した消防団員の存在が欠かせないんです。
地域の安全に若い力を

内水が氾濫し農地が浸かっている様子
消防団員の活動はもちろん水害に対してだけではありません。火災の消火活動はもちろん、避難の呼びかけや、必要な人には避難支援も行います。昨夏の地震の際には見回りを行いましたし、南海トラフ地震に備えた動きも進めています。そういった消防団員のさまざまな活動が地域の安心・安全につながっているんです。
しかし、西都市においても消防団員の数は不足しており、団員の高齢化の課題も抱えています。
若い方々には、自分たちが暮らす地域や家族を守るためにも、ぜひ消防団の一員となって力を発揮していただきたいと思います。

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