小林のつくり人:すき酒造株式会社・杜氏 内嶋光雄さん。南九州には焼酎の蔵元が多く存在します。その中でも小さな蔵元が作り出す焼酎は個性豊かな味わいが魅力。小林の小さな蔵で杜氏が目指しているのは、地元に根ざした味でした。

19歳で焼酎の世界に。黒瀬杜氏の最期の弟子として

[『須木焼酎』を完全復刻。今昔愛される焼酎を紡ぐ]

 

19歳で焼酎の世界に。黒瀬杜氏の最期の弟子として

 小林市須木の小さな焼酎の酒蔵、すき酒造。創業100余年のこの蔵を守るのは杜氏の内嶋光雄さん。ふたりの蔵子とともに毎日蔵の管理を行っています。

 内嶋さんは小林市出身。19歳の時に焼酎づくりの世界に入りました。有名な鹿児島・黒瀬杜氏の最後の弟子として修行に励み、研究者として味の分析なども行い、南九州のさまざまな味を知る杜氏となったのです。そして平成18年に地元である小林市に戻り、すき酒造の杜氏として蔵を任されるようになりました。


『須木焼酎』を完全復刻。今昔愛される焼酎を紡ぐ

 「杜氏というのは体に染み込んだもの。だから同じ味も違う味もできるんですよ」。かつて地元で愛されながらも一度は消えてしまった『須木焼酎』を内嶋さんは完全復刻。地元の人々から喜ばれ、愛される焼酎となりました。

 「お酒は食べているものと同じ感覚。その土地にはその土地に好まれる味があるんです。それはやはり大切にしたい」。新しいものだけでなく、求められる味をつくりだせるのも杜氏ならでは。今昔愛される焼酎を紡ぐ役割なのかもしれません。


手づくり蔵が完成。焼酎への飽くなき探究心!

 そんな内嶋さんがつくる焼酎はバラエティに富んでいて、とても個性豊か。全国にファンも多く、有名紙にも数々取り上げられるのもうなずけます。それでも内嶋さんの杜氏としてのこだわりはそこに留まりません。4年前には念願の手づくり蔵が完成。仕込みには100年前の甕や大小さまざまな甕を用い、原料にもこだわります。

 「気候も、原料もその年によって違いますから、毎年が一年生のようなものです。この蔵も4年目でいい焼酎ができる環境になりましたが、まだまだ発展途上。これからもいいものをつくっていきたいと思っています」。内嶋さんはそう言って目を細めながら甕を眺めます。その姿はまるで我が子を愛おしむかのようでした。


すき酒造株式会社
宮崎県小林市須木下田393-3
TEL.0984-48-2016
[HP]http://suki-syuzo.jp


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