認知症や知的障がい、精神障がいなどの影響で判断能力が不十分になると、お金の管理などを自分で行うことが難しい場合があります。
そんなとき、法律的に支援する仕組みが「成年後見制度」。家庭裁判所から選任された成年後見人が、介護・医療へのサポート、財産の管理、契約の代理などで日常生活を支援します。
[役割2 財産の管理]
認知症や知的障がい、精神障がいなどの影響で判断能力が不十分になると、お金の管理などを自分で行うことが難しい場合があります。
そんなとき、法律的に支援する仕組みが「成年後見制度」。家庭裁判所から選任された成年後見人が、介護・医療へのサポート、財産の管理、契約の代理などで日常生活を支援します。
役割1 介護・医療へのサポート
要介護認定の申請や介護サービスの契約、医療機関との契約などを本人に代わって行い、生活を見守ります。
[事例]
●本人:女性(80代、一人暮らし)
●申立人:妹(県外在住)
●成年後見人:法人(福祉関係)
本人は、ある日脳梗塞で倒れ意思の確認が難しい状態になりました。妹は入院費用に充てるため本人の預貯金を払い戻そうとするのですが、本人にしかできません。
そこで妹は、家庭裁判所で後見開始の申し立てを行いました。成年後見人には、妹が県外在住であることや、本人に介護・福祉サービスが必要なことから法人(福祉関係)が選任され、日常的な金銭管理や、退院後の要介護認定の手続き、介護保険事業所とのサービス利用の契約を行いました。
役割2 財産の管理
現金や預貯金の出入金を管理するなど、本人以外の人が勝手にお金を使わないようにします。
[事例]
●本人:男性(80代、一人暮らし)
●申立人:長男(市内在住)
●成年後見人:長男(市内在住)
本人は、以前から認知症の症状が現れていましたが、最近症状が悪化し、市内に住む長男夫婦の家で同居をすることになりました。長男は本人の医療費などの支払いに本人の預貯金を充てること、また本人が自宅に戻ることはないことから家を処分することを考えましたがどうしたらいいか分かりません。
そこで、長男自身が成年後見人になるため後見開始の申し立てを行い、日常的な金銭管理と併せて家庭裁判所から許可を得て、本人の自宅を売却できるようになりました。
役割3 契約の代理
一人で行うことが難しい契約の締結や、本人にとって不利益な契約の取り消しなどを代理で行います。
[事例]
●本人:女性(80代、一人暮らし)
●申立人:妹(県外在住)
●成年後見人:社会福祉士
ある日、県外に住む妹が本人宅へ遊びに行くと、羽毛布団が何枚も置いてありました。妹が本人に話を聞いても誰が来てどんな話をしたのか、内容を理解できないまま買ってしまった様子です。また羽毛布団以外にも、高い呉服や健康食品など必要のないものを買っていたことも分かりました。
妹は後見開始の申し立てを行い、成年後見人には第三者の社会福祉士が選任され、本人がだまされて結んでしまった契約を取り消すことができるようになりました。
成年後見人になるのは
成年後見人は、本人のためにどのような保護・支援が必要かなどの視点に立って、家庭裁判所が選定します。
例えば
[財産の分割・売却、遺産相続などが必要なケース]・・・法律の専門家や法人
[医療・介護などの手続きが必要なケース]・・・福祉の専門家や法人
※ケースによっては、親族が選ばれたり、第三者の専門職が選ばれたりすることがあります。
市民後見人 ~ 一般市民も成年後見人に ~
成年後見制度の半分は、弁護士や司法書士などの専門職が受任しています。しかし、後見制度への申し立て件数は年々増加し、専門職の不足が予想されることから、宮崎市では平成25・26年度に一般市民による成年後見人の養成を行いました。
活用するために! 知っておきたい制度の知識
【Q】誰が申し立てることができますか。
【A】
申し立てができる人は、本人、配偶者、四親等内の親族(※)、市区町村長などに限られています。宮崎市でも、制度利用が必要で身寄りのない人に対して、市長が親族に代わって申し立てを行っています。
※四親等内の親族とは、親、祖父母、子、孫、ひ孫、兄弟姉妹、おい、めい、おじ、おば、いとこ、配偶者の親、子、兄弟姉妹
【Q】申し立てに必要な費用は、どれくらいですか。
【A】
必要な書類や印紙代に1〜2万円程度、また、判断能力を鑑定する費用として5万円程度必要になる場合があります。これらの費用は、申立人負担です。また、親族以外の成年後見人などに対して報酬の支払いも発生します。
【Q】成年後見制度に関わる助成制度はありますか。
【A】
宮崎市は、今年度から、費用負担が困難な人を対象に、申し立て費用と親族以外の成年後見人などへの報酬の助成を始めました。詳しくは、上記へ問い合わせてください。
【Q】成年後見制度の利用開始までの流れはどうなりますか。
【A】
申し立てに必要な書類をそろえて、本人の住所地にある家庭裁判所(宮崎市の場合、宮崎家庭裁判所)へ提出します。その後、家庭裁判所が成年後見人などを選任します。申し立て後2〜4か月で支援が開始されます。
超高齢化社会で、必要性が高まる成年後見制度
判断能力の衰えた高齢者などを支援する、成年後見制度。宮崎市では、平成26年度には認知症高齢者が1万人を超えており、今後、制度による支援を必要とする人の増加が予想されます。誰もが、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域全体で支援が必要な人に手が差し伸べられる体制を作っていきましょう。
成年後見制度に関する問い合わせ先
●認知症高齢者の場合 長寿支援課 ☎21-1773
●知的障がい者の場合 障がい福祉課 ☎21-1772
●精神障がい者の場合 健康支援課 ☎29-5286
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