ツリガネニンジン(トトキ) キキョウ科の多年草

[風にチラチラと揺れるさま]

ツリガネニンジン(トトキ) キキョウ科の多年草

 ツツリガネニンジンはキキョウ科の多年草で、トトキとも言う。

 トトキのトトは東北地方で「ツツ」のことである。北海道、本州、四国、九州など、日本各地の山野に普通に見られる。西都市内では一ツ瀬川の河川敷や、西都原の古墳周辺に多い。高さ1mくらい。根出葉は長柄を持ち、ほぼ円形。茎葉は長楕円形、卵形または披針形で緑に不規則な鋸歯があり、3~4枚ずつ輪生する。夏化から秋に、茎上部に伸びた葉柄に下向きの鐘状花が咲く。花冠の先は五裂し、淡紫色または白色で長さ約1.5cm。  根を干して乾燥したものを沙参と呼び、全組織中に含まれるイスリンとサポニンに去痰作用があり、風邪をひいたとき煎じて飲むとよい。
 また桔梗の根の代用として一日8gを煎じて健胃・去痰薬にする。


風にチラチラと揺れるさま

 春に芽を吹いた若芽は食べられる。芽を摘むと白い汁が出てくるが、水にさらしてアクを抜き、あえ物にして食べると山菜とは思えない美味で ある。特に白あえがよい。

 山菜料理が盛んな東北地方 に行くと「山でうまいのはオケラにトトキ、里でうまいのはウリ・ナスビという。日当たりのよい原っばや土手な どに生えていて、子どもでも 簡単に採集する。
 秋に青紫色の花をつける。 その釣鐘そっくりの花が、風にチラチラと揺れるさまからツリガネニンジンという名前が付いた。別名を「チョウ チンバナ」といって子どもた ちが花を採って遊ぶ。

 学校帰りに道端のスイスイコンボを採っていると、ワラ ビの拳骨とツクシの坊やを押し分けるようにして背伸びしたツリガネニンジンの緑が美しい。


文・写真 滝 一郎


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