ここ数年、就農する人が急増しています。昨年、宮崎市内で就農した人の数は101人。なかでも30代や40代の若い世代が、新たな職業として農業を選択しています。今回は、若手農家に集まってもらい、就農までの道のりや現状について、本音に迫りました。
[江頭さんと天野さんは新規就農者ですが、農業をやると決めてから、まず何をされましたか?]
ここ数年、就農する人が急増しています。昨年、宮崎市内で就農した人の数は101人。なかでも30代や40代の若い世代が、新たな職業として農業を選択しています。今回は、若手農家に集まってもらい、就農までの道のりや現状について、本音に迫りました。<br><br>
農業をやろうと決めたきっかけは?
▲キュウリ農家 天野 雅員さん(44歳) [新規就農者]
3年前に広島から宮崎に移住。奥さんと子ども3人の5人家族。この8月に研修を終え、今秋から夫婦で農家デビュー。
【江頭さん(以下、江)】
周りで耕作されていない農地が増えているのが気になっていました。自分の親も農家を引退しましたし、このまま農家が減って食糧が不足したら、子どもたちや孫たちはどうなってしまうのだろうと。そう考えたとき、自分が農業をしていれば、何らかの役に立てるのではないかと思ったんです。
【天野さん(以下、天)】
私も食べ物を作るのはこれから生活していく上で強みになると思っています。食べ物に困ったとしてもキュウリは食べられますから(笑)。
【小松さん(以下、小)】
私は、親が農業をしていたこともあり、いつの頃からか自分も農家になるんだろうなあと思っていました。
江頭さんと天野さんは新規就農者ですが、農業をやると決めてから、まず何をされましたか?
▲ミニトマト農家 江頭 真由美さん(40歳)[新規就農者]
今年で就農2年目。夫、中学1年生の長男、小学5年生の次男の4人家族。以前は会社で事務員として働いていた。
【江】
情報収集です。特に就農に関する補助事業については入念に調べました。ハウスにはかなりの初期投資が必要なので。
【天】
私は知り合いの農家に足を運んで、話を聞きました。成功している人の生の声を聞けますし、横のつながりもできたので、よかったですよ。
その後、お二人は「ジェイエイファームみやざき中央」で1年間研修を受けたんですよね。研修内容はどんなものでしたか?
▲花・果樹農家 小松 辰徳さん(29歳) [農業後継者]
農業高校、農業大学校を卒業後、2年間大阪の花市場で研修を受け、23歳から親が経営する農園で花の生産を担当している。
【江】
畝造りやビニールの張り方など、一から農業を教えてもらえました。何の知識も無かった私が、就農した年からちゃんと収穫できたのは研修があったからこそです。
研修で技術は習得できても、いざ就農するとなると、大変なこともあったのでは?
【天】
初期費用がネックになりました。ただ、機械・施設を導入する際に市の助成制度や青年就農給付金、青年等就農資金など、就農を支援するための制度があるので、それらをうまく活用すれば何とかなると思いますよ。
【江】
そうですね。ただ、補助金ばかりをあてにしていては、先々まで農業を続けていくことは難しいと思います。5年先、10年先の経営計画をしっかりと立てておくことが大切です。
実際に就農してみていかがですか?
【江】
ストレス無く仕事ができるし、収穫の楽しみもあるし、農業を始めて本当によかったですよ。ただ、台風16号では、ハウスの中まで浸水する被害に遭ったんです。私のハウスのある地域は水に浸かることはないと聞いていたので、まさかの出来事でした。
【小】
自然が相手なので、確かに難しい部分はありますね。うまくいかなかった時は、原因を検証して翌年に生かそうとはするのですが、必ずといっていいほど何か問題が出てくる。毎年それの繰り返しですよ。
【天】
それでも、経営は成り立っているんですよね。経営をスタートするにあたって、そこが一番不安なんですが、お二人のように、しっかりと食べることができている人の存在は支えになります。
農業を始めて何か変化はありますか?
【天】
広島で会社勤めをしていた頃は、連日、家に帰り着くのが深夜。日曜日以外は子どもの寝顔しか見られないような状況でした。それが、今では毎日一緒に晩ごはんを食べることができています。
【江】
私は仕事への取り組み方が変わりましたね。自分で農業をしていると、やった分だけ収入として返ってくるので、働きがいがありますよ。
【小】
就農1年目の収量はどうでしたか?
【江】
ベテランの農家さんと比べるとそれほどでもないでしょうが、思っていた以上に収穫できました。手をかけた分だけ返ってくるものだと実感しましたね。
今後の目標を教えてください。
【天】
まだスタートラインに立ったばかりなので、まずは食べていけるようになること。それだけです。
【小】
毎年安定した経営ができるよう、技術を高めたいですね。それと、今後は販路の拡大も意識していきたいと思っています。
【江】
収量を増やすことが一番です。成功している農家さんには、借り入れなどを利用することなく、東京の大学に子どもを通わせている人もいます。そういった人たちを目標にして頑張っていきたいですね。
最後に、就農を検討している人たちにアドバイスをお願いします。
【天】
肉体的には想像していた以上にハードです。どんなに疲れていても、自分がやらないことには作業が終わりません。そのあたりの覚悟は必要だと思います。
【江】
手伝ってくれる人がいた方が安心ですよ。天野さんが言うように、農業は決して楽な仕事ではありません。万が一、病気などで自分が動けなくなったら大変ですから。こんなことばかり言うと、農業は大変なことばかりのように聞こえてしまうかもしれませんが、大変なのはどんな仕事でも同じです。農業には農業でしか味わえない喜びや楽しみがたくさんありますし、こんなに楽しい仕事はないと思いますよ。
【小】
若手の農家が増えると僕たちも張り合いが出ますし、うれしいですね。力を合わせて宮崎の農業を盛り上げていきましょう!
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