宮崎市で輝いている人を紹介する「キラリ! 宮崎人」。今回は、民家を活用したホスピスサービスを行っているNPO法人ホームホスピス宮崎の市原美穂さんです。

患者が暮らしを続けられる第二の家としてのホスピス

[最期まで一緒に過ごす中で家族が受け取る命のバトン]

NPO

患者が暮らしを続けられる第二の家としてのホスピス

玄関に廊下、台所。初めての人でも懐かしさを感じる『かあさんの家』は、がんや認知症を抱えて居場所を探していた人がともに暮らすホームホスピスです。

 「民家をお借りして2004年に開設し、現在は市内に4か所を構えています。グループホームだと認知症、緩和ケア病棟はがん…というように、施設には一定の利用条件がありますが、実際には認知症でがんだったり、病院での治療が困難な神経難病だったりと、条件に合わない人がいます。ここはそんな方々の、第二の家なんですよ」

父が亡くなったときに母が悔いる姿を見て、どうすれば家族は悔いなくみとれるかを考えるようになった、という市原さん。『かあさんの家』は、そんな市原さんがアメリカで見た在宅ホスピスをモデルにしています。 「ホスピスといえば日本では施設のようなイメージですが、アメリカは在宅中心。医師や看護師、ヘルパー、ボランティアが出入りしながら、患者は自宅で暮らし続けられるんです。これなら宮崎でもできるんじゃないか、と思いました」

 『かあさんの家』で暮らす皆さんは、病人である前に『家のご主人』である、と市原さんは話します。

 「病院や施設だと、部屋では自由でも、一歩廊下に出ればそこは公共の場。一方、ここは家なので、食堂も廊下も自分の場所です。暮らしている皆さんのご家族も、ここを自分の家として過ごしていますよ。ある方のお孫さんは、台所で受験勉強をされていました。お見舞いではなく、普通におじいちゃんちに来た、という感覚ですね」


最期まで一緒に過ごす中で家族が受け取る命のバトン

 そうして時間を共有した家族は、最期のときを迎えても、決して取り乱したり、号泣したりしないそうです。
 「亡くなるまでの時間を一緒に過ごす中で、ご家族は命のバトンを受け取る準備が整います。最期まで寄り添っていられるのも家ならでは。みんなで囲んでわいわい話をしながら、にぎやかにみとられるご家族もいらっしゃいますよ」
 自分らしく過ごし、旅立つことのできる『かあさんの家』は今、全国にその理念を広げています。


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