宮崎のブランドとして認定されている「金ふぐ」。今回は、県内でも水揚げ量の多い地元都農の金ふぐ漁に密着してみた。
[暗い午前5時前に出港、はえ縄で]
宮崎のブランドとして認定されている「金ふぐ」。今回は、県内でも水揚げ量の多い地元都農の金ふぐ漁に密着してみた。
県水産物ブランド品に認定 シロサバフグ(通称金ふぐ)
昨年、「みやざき金ふぐ」として第9号の県水産物ブランド品に認定されたシロサバフグ(通称金ふぐ)。都農町と川南町で県内の約8割の漁獲量を誇る。都農漁協によると、都農で1日に約600キロの水揚げがあるという。表面が鮮やかな金色をした金ふぐは、9月に漁が解禁され、11月から2月が旬。「今が1番獲れる」という声を聞き、12月7日、みやさき金ふぐ振興会会長・児玉紀明さん(下浜) の真栄丸に乗せてもらい金ふぐ漁に同行した。
暗い午前5時前に出港、はえ縄で
まだ空も海も暗い午前5時前に出港。金ふぐ漁ははえ縄を使って行う。この時期は近場で獲れるとのことで、この日の漁は、漁港から東へ2キロ、水深約18メートル。そこから北へ向かって餌を付けた縄を降ろし始める。普段は、50メートル以上沖で漁をすることが多いとのこと。はえ縄は一本の縄に何本もの枝縄をたらし、その一つ一つに針が付いている。児玉さんが使う縄は、針と針の間隔が4.5メートル。一かごに針が90本。それを21かご使う。サンマ120匹分の餌を付けた縄を約13キロにわたって降ろす。
揚がってきた金ふぐの針を素早くはずし、曲がった針を元に戻す
午前6時ごろ、空が明るくなり始めた。普段、尾鈴山もワイナリーも、海からきれいに見えるとのこと。午前6時15分、縄を降ろし終わった。しばらく待つ。午前6時55分、ラインホーラーという機械で縄を掲げ始める。巻き上げられる縄をかごの元の位置に収めながら、揚がってきた金ふぐの針を素早くはずし、曲がった針を元に戻す。その間、手元のスイッチで船のかじ取りを続ける。これから出港する漁師が無線で呼び掛けてくる。連絡を取り合って場所をずらしたりするとのこと。約3時間後、すべての縄を掲げ終わり、漁港に戻ってきたのは、午前10時30分。休む間もなく、翌日の餌の準備に取り掛かる。1匹のサンマを20ぐらいに輸切りにし、一つ一つ針に付けていく。縄はずっと使えるが、約2000本ある針と糸は毎年替え、作り直すのだという。午後1時から水揚げが始まる。漁師たちが獲った魚を持ち寄り、漁協職員たちが大きさを分け、量を測る。児玉さんの今日の漁獲量は30数キロだった。
1月1日以外は漁師の仕事を休むことはない
児玉さんは16歳のときから出漁している。亡くなった父親から引き継いだ真栄丸を守り続け、金ふぐ漁は16年目。1月1日以外は漁師の仕事を休むことはないという。船上では、濡れた手に海の冷たい風が容赦なく吹き付ける。立っていられないほどの強風の中で恐怖を感じたこともある。それでも毎日毎日海に向かう。
こうした漁師たちの長年の技術や努力によって、誇れるブランド「みやざき金ふぐ」は世に存在している。
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