パームスが、県内市町村にエールを送る本コラム。
今回は神々のふるさと高千穂町です。宮崎を代表する観光地。
県民からすれば、高千穂峡も夜神楽もポスターなどで飽きるほど見ているのに、
なぜか引力があります。なぜなのか。
[2.観光地であり田舎であり]
パームスが、県内市町村にエールを送る本コラム。<br> 今回は神々のふるさと高千穂町です。宮崎を代表する観光地。<br> 県民からすれば、高千穂峡も夜神楽もポスターなどで飽きるほど見ているのに、<br> なぜか引力があります。なぜなのか。<br><br>
1.全部神様のおかげです
今月号で月刊パームスは通巻300号、創刊25周年。1991年の創刊準備号の最初を飾ったのは、高千穂町の記事でした。
当時取り上げたのも、高千穂峡であり夜神楽であり、高千穂神社であり天岩戸神社であり。町の売りがいまでも変わらない、これが高千穂町のスゴさです。変化に乏しいのは他の市町村もそうですが、高千穂だけは飽きられない。
県民にしてみれば定番すぎる真名井の滝も、TVで繰り返し紹介されますし、なににつけても神々の里、天孫降臨の地。その意味では、神楽が舞われる同町の夜は、神々の時間ということになるのでしょう、どのお店も夕方でさっさと閉まって、高千穂の夜が真っ暗で人がいないのはそうだからに違いない?
TVと言えば、某深夜番組で、日本で一番エロワードを検索しているのが宮崎県、とりわけ高千穂町という結果が紹介されて話題になりましたね。いわくニニギノミコトとコノハナサクヤヒメの出会いの地だから。いわく男女の営みの舞もある神楽を伝えてきたからと、なんでも神話方面に結びつけられてしまう高千穂町民も、気の毒と言えば気の毒です。
2.観光地であり田舎であり
観光のまち高千穂町では昨年、観光客数が過去最高となりました。その数、前年比13%増の161万人。消費額は52億円超。県内の不景気など、どこ吹く風といった数字です。
今年は熊本地震の影響を受けましたが、考えたらこれまでも高千穂鉄道が廃線になったり、高千穂峡付近がたびたび崩落したりしてるんですよね。それをマイナス要因や言い訳として引きずっていない。九州ふっこう割もあって、客足はすでに回復しつつあるそうです。さすが高千穂。
有名観光地の影に隠れがちですが、さまざまな振興策も行われています。ご当地グルメ「タカチホコロッケ」も誕生。軽トラ市も行われています。ミニスカートの萌えキャラ「神呂木うすめ」ちゃんまで誕生して、そんな層まで狙うのか高千穂!
それでいて今年、町に唯一のラーメン屋ができたというような、ほっこりしたニュースが届いたりもします。昔話さながらの風景と暮らしを発信する秋元集落も話題です。第一級の観光地と田舎のブレンド感が、高千穂は絶妙なんだよなぁ。
3.攻めること、守ること
観光地も田園風景も昔のままの、という形容詞で片づけられがちですが、観光面ではグイグイ攻めているのが高千穂町です。
当面の目標はインバウンド(訪日外国人旅行客)需要の強化。免税店ができたり外国人向けにアピールしたりと、PRや環境整備に積極的に励んでいます。時期によっては数時間待ちになる高千穂峡の貸しボートでは、予約アプリの導入で、並んで待たなくてもよくなりました。こういう取り組みの動きは高千穂は早い。
宮崎人には高千穂峡も夜神楽も目新しさはありませんが、おみやげではパッケージに夜神楽の写真を使ったものがよく売れるそうです。宮崎では当たり前で魅力的でなくても、外から見たときはどうか。不易流行(変わらない中にも変化を取り入れること)を地で行くのが高千穂の観光で、変えてはいけないものがあることを教えてくれる気がします。
26年目からの本誌も、高千穂町の姿勢に見習わなくては。25歳という意味では、同町の淡水魚水族館とも同い歳です。変えてはいけない本質を大切にしながら、川魚のように息が長く、食べればちょっとクサみのある雑誌をめざさないとね!
ついこんなこと言っちゃう部分は変えていきたいと思います。
■高千穂町DATA
●人口:12,834人(9/1現在)
●面積:237k㎡
●人口密度:54人/k㎡
●町の木:おがたまの木
●町の花:藤
●町の鳥:ホオジロ
■高千穂町のココもスゴイ!
秋元神社:
山深くに鎮座する、国土の神、国常立尊を祀る神社。拝殿が鬼門( 北東) を向いていてパワーが宿っていると言われています。有名人もお忍びで来るとか。
棒術:
高千穂に伝わる古武道が棒術。小藩だったため農民に教え込まれたものが現代まで伝えられています。現在は二派があり、年に一度、技芸を披露する祭典も。
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