パームスが、県内市町村にエールを送る本コラム。
今回の諸塚村は、県央あたりの人にとって、一番縁遠い地ではないでしょうか。山の中。椎茸。それ以外のイメージがあまりわきません。ところがどっこい。諸塚村はすごかった!

思えば遠くにあるもんだ

[森が結んだ超コラボ!]

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思えば遠くにあるもんだ

 パームス編集部には毎月、県内各地からたくさんの読者ハガキが届きます。それが諸塚村からの便りだと、やっぱり「へ〜、諸塚からわざわざね〜」という感慨がわきます。直接持ってきたわけでもないのに、この「わざわざ感」。これが、街と諸塚村の距離感だと思います。

 村の95% が山林。村を取り囲む、諸塚山をはじめとした千m級の山々。諸塚村を「九州のマチュピチュ」と評する人がいるように、諸塚にはちょっとした桃源郷感もありますよね。森の民のモロツカ。確かそんなジブリ映画もあったような(完全に気のせいです)。

 ただ、強い打ち出しに欠ける印象もあるんですよね。同じ山奥の、椎葉村で言えば鶴富屋敷や平家まつりのようなシンボルも思いつかない。最近聞いた諸塚村のニュースと言われてもピンと来ない。なぜでしょう? 実はそこにこそ、諸塚村の秘密があるのです!


森が結んだ超コラボ!

 まずは諸塚村にまつわる数字を並べてみます。人口は約1730人。高齢化率は41% 。このまま推移すると、2040年には人口が千人を切るという試算もあります。ちょっとヤバイ。

 そして先述の通り、村の9割が山林で、その8割が人工林という林業の村です。環境保全から木材製品の流通まできちんと管理され、村全体が国際的な森林認証を取得していますが、そんな固いお話には興味ありませんよね?

 では興味がわく名前を出しましようか。あの世界的音楽家、坂本龍一氏!じゃじゃーん。坂本氏は、森林の環境保全と地域活性を理念に掲げる「moreTREES」という団体の代表でもありまして、坂本氏自ら村を訪れて諸塚村と2010年に森林協定を結んでいます。

 そして今年。そのmore TREESにより、素村が諸塚の杉材で、デザインがあの世界的建築家、隈研吾氏という、類まれな積み木が生まれました! じゃじゃーん。その名も「つみき」。そのまんまや!でもすごいコラボですよね。またいいんですよこの積み木。今年のクリスマスプレゼントの購入がまだならぜひ。

 もう一方の諸塚名物の椎茸。実は、日本の椎茸栽培の記録は、高千穂・諸塚一帯のものが最古だと言われています。諸塚を含む高千穂郷・椎葉山地域はいま、世界農業遺産の国内候補のひとつです。そして今年、諸塚の椎茸はミラノ万博に出展されましたね。こちらも森林同様、国際認証を取った椎茸です。こういうところ、諸塚村はきちっとしてる。この村って、けっこうしっかり者なんです。


暮らしの原点、あります

 諸塚村には昔から、「諸塚式」と言われて他に類を見ない、公民館単位での自治組織があり、全国で地方自治の規範にされてきました。要するに、村任せでない、住民主体による地域づくりです。自分の住む地区なら、村が用意した資材で自分たちで道路を舗装してしまうような人たちです。

 ブームに遅れまいとゆるキャラをつくったりもしない。この村は外への発信より、村民生活の充実と生活基盤づくりに力を注ぎ続けています。存続が危ぶまれる人口、村の規模だからこそ、「暮らし続けることができる」ことに、幸せの第一義を置く村なのです。

 こういうことは街で暮らしていると忘れがち。あと、冒頭の距離感の話で言えば、関心がない地域ほど遠く感じます。私たちも、森のふるさと諸塚のことを知ろうとしないとね。

 最後に、「つみき」と合わせてオススメしたい諸塚アイテムを紹介します。村のお年寄りが、諸塚の木でつくったターナー。つまり木べらです。かの有名建築家たちに負けていません。その名も、「あなたに会えて、よかっターナー」!

 村内で買えます。店員さんに略さずに言えるかどうかで試される、あなたの諸塚愛。


諸塚村のココもスゴイ!

■ 檪(くぬぎ)地蔵

 村の木であり、椎茸の原木であり、「苦を抜く木」とも言われる櫟で造られたお地蔵さま。手には椎茸をもっています。ミニチュアストラップも販売中。

■ 諸塚スカイライン

 1,000m級の峰々の尾根を走る、全長55kmの周遊ルート。針広混交林の「モザイク林相」と呼ばれる諸塚ならではの眺めと、高度感はバツグン!


諸塚村DATA

●人口:1,734 人(10/1 現在)
●面積:187k㎡
●人口密度:9人
●村の木:クヌギ
●村の花:ヤマザクラ
●村の鳥:メジロ


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