パームスが、県内市町村にエールを送る本コラム。
今回は県北エリアの拠点、延岡市です。
旭化成発祥の地でもある工業都市。
メヒカリ、辛麺、あんかけ焼きそばと、食文化も独特。
あと、ザ・グレート・カブキの出身地です。

画期的? 黒歴史?

[東九州道で変わった?]

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画期的? 黒歴史?

過ぎてしまえばあれはなんだったんだ、ということがあります。

延岡で言えば、去年公開された市のPR動画がそうです。延岡にカッパと人魚が現れたというヤツ。いま思えばなんだったのか。母さん、あのカッパどこに行ったんでしょうね。

県北エリアの中心都市、延岡市。ばんば踊りにうたわれる7万石の城下町であり、赤白の巨大煙突に象徴される工業都市です。昔から、旭化成がカゼを引けば延岡はうんぬん、と言われてきましたが、じょじょに企業城下町のカラーを払拭し、近年はほかに例のない振興策や活発な情報発信で注目を集めています。カッパや人魚の移住促進動画もその一貫だとは思いますけど。

空から日本各地を眺める、BS放送の某人気番組も、延岡を取り上げたときに例の動画にふれていましたね。番組キャラが言うには、「残念ながら完全に悪ふざけじゃ」。まぁハッキリ言ってしまえば同感です。


東九州道で変わった?

北川町・北方町・北浦町の3北シリーズを合併して、いまや九州では2番目に面積が大きい自治体の延岡市です。1番目はお隣の佐伯市。2市をあわせると大阪府全体に迫る広さ! 人口や経済力が迫るかどうかは比べないであげてください。

でも、その佐伯市ともずいぶん近くなりました。東九州自動車道の開通で、一番恩恵を受けたのは延岡ですよね。延岡南IC〜佐伯IC間は無料。一方で、宮崎までは通常料金で2870円もかかっちゃう。開通当時、「まもなく陸の孤島終了します」と自虐的なコピーを打ったポスターも注目されました。あれから2年……そうですね、次は新幹線に期待。

昨年は市役所新庁舎もついに完成。これからの新しい延岡を印象づけました。次は、延岡駅前の公共複合施設オープンが大きな目玉です。老朽化した公共ホールの野口記念館も建て替えられようとしています。そうした近代化の一方で、いまも城山の鐘が時を告げる城下町の風情も延岡の魅力。「鐘守」が鐘をつくのは1日に6回。週休2日、年間休暇ありと、いまはちょっぴり現代的。


賛否を巻きおこせ!

PR動画のことをネタにしてしまいましたが、それに限らず、近年の延岡の取り組みは独特です。例えば、各分野で活躍する文化人たちを招いて交流を図った「エンジン01」「02」。例えば、関係がより密接になった佐伯市と県境を越えて食の連携を図ろうという、「東九州バスク化構想」。

市の内部にもいろんな意見があるとは聞いています。
カッパと人魚の動画にしてもそう。先述した駅前複合施設は、某レンタル大手企業の運営になる予定ですが、同様の民間委託の図書館が、全国で議論の的になっていることはご存知の通りです。

それでも現市長の率いるいまの延岡には、新しいことにひるまない印象があります。宮崎が変えるべきは、保守的で悲観的な陸の孤島的発想だと気づかせてくれます。某カップ麺のCMから言葉を借りて応援するなら、「いいぞ延岡、もっとやれ!」。県北をますます騒がせてほしいと期待をかけたい延岡市です。

例の動画でカッパたちも認めた、水質日本一の五ヶ瀬川では、もうまもなく鮎漁が始まります。初夏と秋ならではの延岡の味覚。カッパも住めると思えるほどの、清流が守られてこそ食せる味です。そう、カッパや人魚は、自然を愛する延岡人の心の中に住んでいるのだから――。

え? 住んでない? 心の大半を占めてる、ハムタイのすき間くらいには住んでるよ、きっと。


延岡市のココもスゴイ!

*小 川(こがわ)
人呼んで「奇跡の清流」。北川の支流で、透明度の高さは県内随一です。水量も豊かで、カヌー愛好家垂涎のスポット。カヌー体験もできます。

*地下(じげ)の茶山
日本の里100 選のひとつ。標高約200m の山々に、茶畑の畝が連なります。茶畑の向こうに海が見える払川展望台は、カメラマンに人気の撮影地。


延岡市DATA

●人口:123,406人(3/1現在)
●面積:868 k㎡
●人口密度:142人/k㎡ 
●市の花木:藤
●市の木:クロガネモチ 
●市の花:カンナ


月刊パームス 5月号 No.306

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