自分の人生をデザインできるのは他の誰でもない自分自身。
ぜひ元気なうちに判断してほしいです。
[最近の相談の傾向は?]
自分の人生をデザインできるのは他の誰でもない自分自身。
ぜひ元気なうちに判断してほしいです。
地域包括支援センターではどんなことをしているのですか?
椎屋
センターでは、地域の皆さんがいつまでも心身ともに健やかに生活していけるよう、病院からの紹介で介護保険申請の手続きを行ったり、相談内容に応じて適切な機関やサービスを案内したりしています。
山本
相談そのものが役に立った例もありますね。知人の勧めで相談に来られた70代の女性は、体に不調はなかったのですが、実はご主人やご兄妹を亡くし、身寄りがなくなった自分に万一のことがあっては、と不安が募っていました。終末期に備えて自身の希望を書き記しておくエンディングノートのことを伝えると、「今、自分がすべきことが分かった」と、とても安心されていました。
最近の相談の傾向は?
山本
家族環境の変化からか、東京や大阪など遠方に住むご家族から「宮崎にいる母親の様子が心配です」などと相談を受けるケースが増えてきています。
岡部
「県外にいる親を呼び寄せたい」とか、「県内の山間部にいる親を中心部に移住させたい」という声もよく聞きます。でも、当事者である親にはまだ話をしていない場合が多いんですよ。介護サービスの利用者の多くは80歳以上。今は元気にしていても、体調の変化や不測の事態が起こりうることを考えると、いざというときにどうするかを事前に家族で相談して決めておくことが大切なのですが…。
大石
本人の意向がはっきりせず、家族も判断しかねた末、「お任せします」ということになって、私たちも困ってしまうという事態に陥ることもありますよね。
山本
さらに、本人が認知症などで意思を上手に伝えられない状況だと、せっかくの介護サービスも利用開始までに時間が掛かってしまいます。
問題はどこにあるのでしょう?
大石
介護が必要な状況でも自分で何とかしようとする人が多いため、家族も気を使い、気付かないふりをして先延ばしにしてしまいます。すでに要介護状態なのに介護保険は申請されず、いよいよどうにもならなくなってから相談に来られたケースもありました。
椎屋
事前の話し合いは、いわば「転ばぬ先のつえ」。将来の不安に対して、自分で判断しにくくなる前に対策を立てておいてほしいと思います。
元気に年を重ねるために市民の皆さんに意識してほしいこととは?
山本
私は今、子育てに励んでいる30代〜40代の皆さんに地域包括支援センターを活用してほしいと思っています。その世代の親はおおよそ50代〜60代。まだまだ元気だけど、将来のことや介護予防について一緒に考えるのにいい時期ですし、育児真っ最中の人にとって親が元気でいてくれることは、子育ての助けにもなるからです。
椎屋
まずは気軽にセンターを利用してほしいです。センターにはたくさんの情報があるので、目の前に不安材料がなくても、相談さえあれば将来どんな支援が必要かイメージしてもらうことができます。
大石
できるだけ多くの皆さんと面談し、何が課題なのかを見極めていきたいですね。
岡部
自分や家族の状況は年とともに変化していきます。それに合う施設やサービスを活用すれば、暮らしにゆとりや生きがいが生まれます。いくつになっても楽しく過ごすために自分の人生をデザインできるのは他の誰でもない自分自身。ぜひ元気なうちに判断してほしいです。
思いに寄り添い、安心感を抱いていただくことこそが大切
先日お会いした95歳の女性は、同居中の息子さんに出張が入り、1人で留守番することになってとても不安だったそうです。「いつでもご連絡くださいね」とお電話したところ、とても安心したと言ってくださいました。サービスとしての介護はいろいろありますが、それはあくまでも心配ごとを取り除くための手段。結果として、暮らしに安心感を抱いていただくことこそが本当の意義だと思います。そのためには、私たちはもちろん、家族や地域の皆さんも一緒に、介護を必要とされる人の思いに寄り添っていくことが求められます。
例えば、大正〜昭和初期に生まれた女性には、嫁入りの際に仕立てられた着物を大切にしている人が多くいます。自分の分身のように愛してきた着物だからこそ、誰かに託したい思いも強い。その思いに寄り添い、元気なうちに一緒に整理しながら託す相手を決めることも、介護の一つです。家族であっても難しいことですが、少しのやりとりを続けることによりギャップが埋まり、互いの考え方も分かります。皆さんも、自分や家族の幸せな人生について考えてみませんか。
[問]
介護保険課 ☎21-1777
長寿支援課 ☎21-1773 FAX 31-6337(共用)
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